大恋愛して結婚した相手の秘密を知り、「君がそんな奴だったとは知らなかった」と別れる。 信じた分だけ深く傷つき、 「もう二度と騙されないぞ、しょせん男(または女)なんてそんなもんだ」と決め込む。 心を閉じることで、簡単には人を信じなくなる分だけ、 確かに心は守られる。傷口をえぐられることもない。 何度も異性に騙されながらも、それでも心を開き続ける人は幸いだ。 そのような人は、浄化が進み、強い心を育むことができるだろう。 「しかし!そうやって信じて、殺人をすることになったらどうするんだ!」と、 極端な発想に結びつける方もいるかもしれない。 確かに、恋愛から殺人に発展することはあり得る。 だが、それは果たして、本当にそのような事態を重く見ているからなのだろうか。 傷つきたくない、騙されたくない、疑うことで自己を守りたい、 そういう自己保全的な煩悩が働いてはいないだろうか。 世界には、子供を誘拐して、兵士に育て上げる事例がある。 そっちの方がずっと問題だし、確実に殺人に結びつく事態だ。 しかし、人はなぜか、極めて特殊な条件下の対象にのみ、ご執心だ。 人は矛盾に満ちている。 |