■ 2008年5月20日(火) 1.はじめに 本団体では、本年3月21日から4月10日にかけて、従来の綱領・規約・活動規定を改正するための会員総会が開催され、採決の結果、出家会員総数284名のうち、従来の規約が綱領・規約の改正に必要としていた出家会員総数の3分の2(66.6%)を上回る231名(81.3%)の賛同が得られました。これによって、従来の綱領・規約に代わって、新しい改正案が正式に採択され、本日5月20日をもって、新綱領=「宗教理念」、新規約=「運営規則」、新活動規定=「コンプライアンス規程」として施行される運びとなりましたので、ここにご報告させていただきます。 2.改正に至る経緯 本団体では、いわゆる「代表派」グループの分離活動及び集団脱会等に伴う内部的混乱を正常化するため、2006年7月に発足した、教団関係各部門の責任者らで構成される「合同会議」のもと、組織再編の準備作業が進められてきました。 その過程では、ここ数年の間に本団体内外に生じた様々な変化、すなわち、 ・旧役員らの脱会・辞任による従来の規約の事実上の失効 ・旧役員会に代わる合同会議による新しい運営機構の形成 ・多数の脱会者が出たことによる団体組織の大幅な縮小 等の教団内の状況の変化、あるいは、 ・オウム真理教関連事件の一部の裁判における最高裁判決の確定 ・旧オウム真理教に対する破産管財業務の終結決定 ・信者の転入届不受理問題の司法的解決 等の社会的環境の変化を踏まえて、合同会議を中心に全教団的な議論を重ね、約1年間の準備期間を経て、今回の採択に至りました。 3.新しい体制の概要等 本日5月20日に発足した、本団体の新しい体制の概要等は以下のとおりです。 (団体名称の変更) 本団体の名称(表記)を「宗教団体アーレフ」から「Aleph」に改めます。日本語での発音は<アレフ>です。 (合同会議による運営) 今後の教団運営を担う合同会議は、団体関係部門の責任者ら約30名で構成される合議体で、本団体の会員を代表して団体としての意思決定とその執行を行ないます。 合同会議には「運営委員会」(共同幹事2名、副幹事2名、運営委員数名)が設置され、内部的には合同会議を主宰して運営事務を統轄し、対外的には同委員会の共同幹事が本団体を代表します(なお、新しい運営規則の施行に伴って、本団体会員・野田成人氏の役員としての地位は名実ともに失効・消失し、また、同氏が主張してきた本団体代表としての地位も、同様に全く無効であることを、同氏に対して本日5月20日付で改めて文書にて通告しました)。 本団体の運営機構については、今般の新体制発足の後も、なお整備を要するところは見直しを進め、合議の仕組みを一層充実させていく予定です。 (事件・犯罪との決別と被害者賠償) 本団体では、「過去の一連の事件・犯罪との決別」という、2000年のアレフ発足当初の基本方針に基づいて、これまで破産管財人を通じた被害者賠償への取り組みや、サリン被害者の方の検診事業等を行なっている民間団体(リカバリー・サポート・センター)への協力などを行なってきましたが、新しい体制のもとでも、この基本方針を継続・実行することを確認しました。 このうち破産管財人による管財業務については、本年6月から最終配当が実施され、11月にはすべての業務が終結することが決定されましたが、本団体と破産管財人の間で交わした2000年7月6日付「合意書」では、破産手続きが結了した後も、「サリン事件等共助基金」宛に支払いを行なっていくことを申し合わせています。 本団体では、破産管財人への最終送金として、本日、破産管財人の賠償口座宛に現金1000万円を送金させていただくとともに、この申し合わせを踏まえて、破産管財人に対して、サリン事件等共助基金など民間で被害者救済の活動に取り組んでいる関係団体を通じて、今後とも被害者の方々に対する経済的な補償を継続させていただきたい旨、本日5月20日付で書面にて申し入れました。 なお、今回の最終送金によって、9億6000万円の支払いを取り決めた当初の合意(00年7月6日)以降の賠償金総額は、7億492万885円になりました(※管財人提供のデータによる)。 (宗教活動の基本方針) 本団体では、宗教活動においても、前項同様、アレフ発足時の基本方針に基づいて、前身であるオウム真理教の開祖・麻原彰晃旧団体代表の遺した仏教・ヨーガの宗教体系を継承する一方、一連の事件との関係が指摘されている要素を排除し、これまでに以下の方針を確認しています。 @麻原旧団体代表については、2000年のアレフ発足時に規定されたように、純粋に霊的な意味で瞑想修行等における「観想の対象」ないし「霊的存在」、あるいは、組織沿革上の歴史的な意味で教団創始者としての「開祖(宗祖・教祖【founder】)」とも認識されている一方、現実の教団運営を統括する者としての教祖【leader】・代表者、あるいは団体の意思決定に関与する役職員などの位置付けは設けていません。 A事件と無関係な教義ないし修行法・イニシエーション等については、オウム真理教より引き継いだものを現教団でも採用する一方、裁判等で事件との関係が指摘されている一部教義(タントラ・ヴァジラヤーナ=密教の中のいわゆる「五仏の法則」)については削除されています。また、一般に誤解を招く恐れのある用語や概念等(「タントラ・ヴァジラヤーナ」「ポワ」等)については、過去及び新規の教材等で使用するに当たっては、事件や犯罪の肯定に結び付けられる余地のないかたちで語義やその解釈を規定し、公式注釈書を作成・配付するなどして会員に周知させています。したがって、仏教思想やその教義体系を解説する文脈などにおいて、「タントラ・ヴァジラヤーナ」「ポワ」等の用語が使用される場合においても、それは事件・犯罪を肯定する思想を表わしたものではありません。 B一人ないし少数の指導者の能力・判断に従属する上意下達式の組織形態を見直し、多面的な判断や相互のチェック機能が働くよう、徹底した合議による集団指導体制(=合同会議)を採用しています。 (地域社会との関わり) 2002年の上祐史浩氏の代表就任以降、「社会融和改革」と称していわゆる“グル(麻原)隠し”(旧教団時代の教材等を布教活動の場から撤去すること)が同氏のもとで推進されたことがありましたが、その内実は、対外布教と勧誘活動を目的とした拡大路線を強く志向するものであったため、その“欺瞞性”が地域社会等からの反発を招いたほか、会員からもその手法等について疑問の声が上がり、2003年10月以降、上祐氏が教団運営の主導的立場から離れるとともにその拡大主義は否定され、上記のような、アレフ発足当初の原則的な方針に修正されるに至りました。 現在の合同会議もこの流れを汲んでおり、アレフ発足当初の原則を指針として、地域社会との協調に努めています。 (麻原旧団体代表とその裁判について) 麻原旧団体代表とその裁判については、東京高裁において同人の精神鑑定とその手続き等をめぐって大きな争いがありましたが、 ・結果的に、一度も審理が開かれることなく控訴が棄却されるという、予期しないイレギュラーな手続きによって、本人の口から真実が語られないまま裁判が終結してしまったこと ・判決確定後の2007年11月、日本弁護士連合会によって人権救済申立に基づく治療勧告が出され、東京拘置所に対して、重度の拘禁反応が見られるとされる同人への適切な医療措置の実施が求められたこと などもあり、本団体内外でも、未解決事件を含めた一連の事件の真相解明を願う声や、あるいはその身を案じる声が存在しており、同人の容態や拘置所側の対応等を含めて、今後の状況をなお注視しています。 宗教理念 運営規則 コンプライアンス規程 運営委員会 管財人宛2008年5月20日付申入書 野田氏宛2008年5月20日付通告書 |