タイ紀行 其の2 続編 ヤツガレ、東京に着き さくら銀行本店に直行して 四百万を旅行小切手に、額面十万を30枚、額面一万を100枚と注文した 旅行小切手は銀行員立ち会いのもとヤツガレが 130枚全部にサインして、初めて渡航先で 同じサインをして使用出来る仕組みなっている。 都銀四行の一つであるさくらでは、業務多忙につき、最後迄 サインの立ち会いをしないことを予測して、サインをノロノロと始めた。 案の定、行員が席を外したので、サインを止めて一番最後の小切手にサインして、行員の帰って来るのを待った。 用事を済ませた行員が戻って来て、ヤツガレに サインは終わりましたか と聞くので、 終わりました。 と答えて、西武新宿プリンスに タクシーで向かう。 ホテルに着き タクシーを降りて、ヤツガレ交番目指して駆け足で飛び込み、旅行小切手をタクシーの中に忘れた旨 届け出て受理番号を貰い ホテルに戻りチェックインをしてから、 さくら銀行に電話して、旅行小切手の紛失を伝え、届け出受理番号を伝えて再発行を求めると あさってお越しください。 と言われたのを受けて、エアリンクトラベルに、成田バンコクのタイ国際航空のチケットを手配した。 指定された日に、さくら銀行に行き、旅行小切手の再発行を受けて、成田に向かう。 エアリンクトラベルのカウンターでチケットを受け取り 成田エアーポートレストハゥスに宿泊する。 この時の心境は、入船に対する詐欺虚偽届け出の上、旅行小切手を再発行させた詐欺、懲役一年八月を覚悟していた。 その反面、愛しのオラワンに会える喜びでフライトの朝、オラワンに電話して、 タイランドタイム何時何分エアーポートに着くよ。 タイエアーライン何便に乗る。 といって空港に行く。 ところが思わぬトラブル発生、バンコクから乗客を乗せて成田に向け出発したタイエアーラインはマニラ上空でエンジントラブル発生、かろうじて成田に到着したが、機体整備で折り返しバンコクに向け運航不可能とのこと。 バンコクから代替機が到着してから出発するとのこと 搭乗者は成田東急インにて待機することになり、航空会社手配のバスで東急インに、 客室がたまたま、一緒になったのが、日本不法滞在八年で入管に出頭して、 自費帰国の源氏名恵と言うチエンライの女、 妙に気になる咳をしていた。 ヤツガレが松本少年刑務所で結核になり八王子医療刑務所で療養生活を送った時の咳である。 定刻から八時間遅れて出発したタイエアーラインは、バンコクに深夜零時に到着。 恵は不法滞在の帰国ゆえに、入管オフィスで賂五万をたかられたとのこと。 二人で通関ゲートを出たが、オラワンの姿を捜したが見当たらない。 オラワンが迎えに来ていれば、オラワンに訳を話して、オラワンの家に恵を泊めることも出来るのだが、ヤツガレが困ってしまった。 恵にホテル迄、案内して貰い二人で別々の部屋に泊まり、夜が明けてから二人でチエンライを目指すのである。 恵の家に案内されて、ここで又、ビックリした。 日本で売春で稼ぎ、その金を父親母親に送り、一軒家が建てられている。 将来、恵の家から周囲五キロ以内が走る爆弾娘の潜伏先とアサヒ芸能、週刊現代に書かれるとは知るよしもない。 白無地の旅行小切手は、恵の紹介でチエンライの麻薬王に売り付けたが、この麻薬王がのちに、走る爆弾娘のパスポートを手配する等とは、知るよしもない。 恵の案内でタイ北部、そしてチエンライに行き、たまたま病院の前を通り、恵に診察を受けさせたところ、結核とのことであり、ヤツガレの体験から細々としたアドバイスを与えるのである。 その夜 恵がヤツガレの部屋に来て お父さん恵あげる といってベッドに入って来るのである。 ヤツガレ女好きですから食べましたよ 恵の紹介でチャカの売人からチャカと玉も買いましたよ。 平成四年十二月三十一日、遊び飽きてバンコクから成田に帰って来ました。 この時、唖然としたと言うかビックリした。 通関手続きを終えて、出口に出て、入船が立っているではないか 何で俺が帰って来るのがわかったのか と言うと、入船言うのに、 あんさんの動きは分かるよ。 と言うのである。 後日に続く。 |