![]() たとえば、ここに一人の人があって、 深き湖の水の中に大きな石を投じたとするがよい。 そのとき、そこに大勢の人々が集まり来たって、 「大石よ、浮かびいでよ。浮かび上がって、陸に上れ」、 と祈願し、合掌して、湖のまわりを回ったとするならば、 汝はいかに思うか。 その大いなる石は、大勢の人々の祈祷合掌の力によって、 浮かびいでて陸にあがるであろうか。・・・ たとえば、ここに一人の人があって、 深き湖の水の中に、油のつぼを投じたとするがよい。 そして、つぼは割れ、油は水の面に浮いたとするがよい。 そのとき、大勢の人々が集まり来て、 「油よ沈め、油よ沈め、なんじ油よ、水の底に下れ」、 と祈りをなし、合掌して、湖の回りを回ったとするならば、 なんじはいかに思うか。 その油は、人々の合掌祈祷の力によって、沈むであろうか。 (相応部経典42.6 増谷文雄訳) |