それから、あんたは何か勘違いしているようだが 漏れは男のことで、ずいぶん功徳を積んだのに、叶わなかった、といったことはある しかし、仕事のことで、教団のせいで落ちぶれているとはいってない 仕事に精を出すような意識状態でなくなったんだということ 世間でいっぱしに見られたい、とか、人より有能だと見られたからといって それがなんなんだ、と、、、 教義にふれていくうちに、現世の仕事が空しくなって しまったのは事実なのよ 昔はガツガツと、絶対これをやりたい、と思っていたのに (それができたからといって、なんとしようか)という意識に変わっていったってこと 英語が好きで身を立てたかったんだけど、たとえ英語ができるようになっても 来世にもっていけるものでもないし、、 一生懸命やれば、今生は、好きなことができるかもしれないが、 せいぜい、60か65くらいまででしょう? つまり、若い頃はそんなふうに考えなかったんだけど 無常だ、といわれて、それまで考えてもみなかったことを、いろいろ悩んだわけ 漏れは教学だけはやったから、当時、無常で、その場かぎりで、長続きしないものを 常住であるとみなして、執着することが、あとで苦悩を招くというのを それなりに、理解した しかし、理解したけど、執着があって切れなかった しかし、今の自分にはできないけど、そういうのが理想であって いつかは完成するべきものなのだ、と そういう観念はもったわけ だから、英語で身を立てられなかったのは、教団のせいだと、いうのは 無常観のせいであって、、 まあ、ある時期、それでもいいと思っていたわけ べつに英語じゃなくても、生きられるだろ ここは日本なのだから そういうふうに、自分の考えは変わっていったんだから しかし、ぶち切れたのは、ファミリがやけに、教育費をかけて 現世の勉強に熱心だということ それで、なんだ、漏れらには修行の話を散々して、現世から離脱するように 教えたのに たいした役に立つもんでもないのに、私立の大学までストレートで入れる 中学を受験して、そのために、進学塾まで探し回って入れたんだって、、 マンション買って、自分らの人生だけはなるべく豊かにしたいらしいのよ そんなに、世間の基準が大事なの?って 漏れらには現世否定を散々したくせに、って あんたは、漏れの仕事のことをネチネチいいたいらしいけど なんであんたはそれを責めるの 漏れは確かに金はないが、今は働かなくても生きられるんで、こうしている あんたみたいに、結婚して、金を稼いだら、立派だという観念が、漏れにはないのさ |