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Message#2129 2005年12月23日(金)00時44分
From: 和井 恵
 
杏奈ちゃんへ
>マイトレーヤ正大師にあこがれて入りました。
>格好良い理由はありません。
>ただ、それ一点です。
>もともと、家が浄土宗の檀家で、小さい時からお墓参りとか会合とかに出ていて
>宗教自体に興味があった事も理由の一つです。
>
>私は、2002年に入ったのですが、同時に入った友達なんかは、
>「自分を変えたい」「救済のお手伝いがしたい」って感じで凄く違和感があります。
>
>本当にそんな崇高な事を毎日考えているのかなぁ??? って、ちょっと疑ってしまいます。
>私は、他の人と比べてもの凄く煩悩的な理由でアーレフに近づきました。

私の場合も、元々「崇高な目的」があって仏教と「縁」が生じたわけではありません(笑)。

今からもう三十年くらい前の話しになりますが、
私が仏教に興味を持ったのは、
角川文庫の「変身の原理」という本がきっかけでした。

当時私は高校を卒業して上京し、
売れっ子のマンガ家「永井豪さん」の会社で
「アシスタント」をしていたのです。

その時の私は、自分の作品の役に立ちそうな
「タネ本(資料)」を探していました(笑)。
本屋でパラパラと立ち読みをしてみると、
「宗教本」なのに「心理学」や「運命学」
「サイバネティックス理論」といったものまでが登場し、
それらを駆使した「斬新な理論」が「展開」されていました。
私が今までイメージしていた「宗教」とは、
かなり違った趣の「本」だったのです。
そして、中学で覚えた「催眠術」をきっかけに、「臨床心理学」に興味を持ち、
色々な知識も持ち合わせていた私には、
とても興味深い「内容」が書かれてあるように感じられたのです。

これは、何か(自分の作品)の役に立つかもしれない…

これが、その本を購入した「主な動機」でしたが、
持ち帰って読み始めると途中で止めることが出来なくなり、
読み終えたときには、いつの間にか夜が明けてしまっていました。

この本を「縁(きっかけ)」として、
私は「仏教(密教)」の道に足を踏み入れたわけですが、
元々、宗教が大嫌いだった私は、その前に何度も逡巡し、
その本の著者「桐山靖雄さん」の処へ赴くまでに、
半年以上もかかってしまいました。

その時、私が求めていたのは
「因縁(強制運命)からの解脱(解放)」であり、
「新しい人生(自由・創造運命)」を切り開いてゆくための
「智慧(能力)の開発」でした。
別に、「衆生済度(救済活動)」をしようとして
近づいていった訳ではないのですね。

そして、しばらくするうちに、
「ノストラダムスの大予言(五島勉)」という本が登場します。

この本によって、私も
「世紀末思想」という「洗脳(笑)」を受けてしまうわけですが、
もし、後二十年くらいで「この世界」が
「崩壊の危機(大破局)」に陥ってしまうのだとしたら
今目指している「マンガ家」になるための「努力」なんて、
何の意味があるのだろうか…

私は「仏教の教え」によってではなくて、
「世紀末思想」によって「この世の無常」を感じ(笑)、
「その破局を回避するための救済活動」に興味を持っていったのです。

そして、何度も「魔境」に入ることによって
自分の「家庭」と「経済的基盤」を失い、
大好きだった「阿含宗」も、
泣く泣く離れなければいけない「状況」に追い込まれてしまいました。

私が「救済活動」に専念しようと決意したのは、
「離婚」が原因です。
私には二人の幼い子供達がいました。
その二人に、私は大きな「負い目(負債)」を感じていたのです。
そして、傷ついた自己の「存在意義(アイデンティティ)」を
回復させる唯一の「手段」として、
自分の子供達も含めた、次の若い世代達のために、
「次にくるであろう新しい世界」を造り出すための
「捨て石」になろうと考えたのです。

しかし、これは決して「高尚な気持ち」などからではなく、
要するに、自分の持っている「負い目(心の負債)」を
何とか自分が納得できる形で「精算」したかっただけなのです。
「自分には不利益になる」が「他の人の利益になる」ことをする。
これが、私が選んだ「方法」でした。

そして、私が求めていた「活動の場」を与えてくれそうな
「オウム」と巡り会い、すぐに「出家」をしたのです。
理由は、他にその「場」が見つからなかったから…

「尊師」も、「その教え」も、要するに私には「二の次」だったのです。
そしてその事を、尊師は初めから知っていたようでした。

「他に行く場所がないから、ここに来たんだろう?」
出家したばかりの私に、尊師は笑いながら言いました。

(つづく)


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